本書はフッサールが最晩年、ナチスの非合理主義の嵐が吹きすさぶなか、ひそかに書き継いだ現象学的哲学の総決算である。彼はその時代批判を、近代ヨーロッパ文化形成の歴史全体への批判として展開し、人間の理念をめぐる闘争の過程であった歴史そのもののうちに、自らの超越論的現象学の動機を求める。