1851年、ロンドンで開催された万国博覧会は、近代産業が生み出す商品の圧倒的量を示すことによって大衆を熱狂させた。博覧会は消費文化の広告装置、大衆娯楽の見世物の役割をはたすと同時に、帝国主義のプロパガンダ装置としての役割をも自己演出していく。このような場で新興国日本は、両義的存在たらざるを得なかった。本書は、博覧会を鏡として、近現代を織りなす「まなざし」に迫り、そこに作動する「力」を剔抉する試みである。