Scratchは子ども向けのプログラミングツールだと思っていませんか?
いえいえ、そんなことはありません。
大人だからこそ、こんなに楽しく、こんなこともできるのです。
本書は、Scratchに対する「誤解」(子ども向けである、ゲームしか作れない、きちんとしたプログラミング言語ではない)を解き、Scratchが対象年齢としている「すべての年齢の子どもたち」(Children of all ages:子どもから、子どものような好奇心を持った大人まで)にScratchの楽しさ、プログラミングの楽しさを伝えるためのものです。
本書では、アートとサイエンスという一見高度で難しそうなテーマを選んでいます。このテーマを支える題材となる、等加速度運動、二進法、論理回路、確率、三角関数、モンテカルロ法、フラクタル図形を用いたさまざまな作品(プログラム)をつくりながら、「わからなかったことがわかる」「できなかったことができる」楽しみを味わってください。
■「おわりに(ふたたび、ホビープログラミング)」から抜粋
プログラミングは、本来は楽しいもの、面白いものであったはずです。そこには、明確な目的や合理性はなく、ただ自分がやりたいからやっていただけでした。
本書で取り上げているさまざまなプログラム例は、それをやったからと言って、直ちに何かの役に立つというものではありません。これで、資格が得られたり、お金がもらえたりするわけでもありません。ただ、その過程において、知的な興奮が得られるはずです。わからなかったことがわかるようになる、できなかったことができるようになる、そして、ひとつのことがわかっても、さらに新しい疑問が生まれるという連鎖を、ぜひ経験してもらえればと思います。
――阿部和広
■目次
はじめに ― 作る楽しさを「すべての年齢の子どもたち」に
序章 「跳ねるボール」を作りながら、Scratchの操作に慣れよう
第1章 コンピューターのキホン、加算器を作ってみよう
第2章 40人クラスで同じ誕生日の人がいる確率は?
第3章 三角関数を使って万華鏡のような模様を作ろう
第4章 ダーツを4万本投げて円周率を求めよう
第5章 フラクタル図形を描いてみよう
おわりに ― ふたたび、ホビープログラミング