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  • Author先崎学
  • Publisher文藝春秋
  • ISBN9784163908939
  • Publish Date2018年7月

うつ病九段 / プロ棋士が将棋を失くした一年間



「ふざけんな、ふざけんな、みんないい思いしやがって」



空前の藤井フィーバーに沸く将棋界、

突然の休場を余儀なくされた羽生世代の棋士。

うつ病回復末期の〝患者〟がリハビリを兼ねて綴った世にも珍しい手記





〈このたび、先崎学九段(47歳)が一身上の都合により

2017年9月1日~2018年3月31日まで休場することになりました。〉



2017年8月10日、日本将棋連盟のホームページにこんな告知が掲載されました。

折しも藤井聡太四段がデビュー29連勝を成し遂げたばかり。

空前の将棋ブームが到来していた最中に、羽生世代のひとりとして

将棋界を牽引してきた先崎学九段が突然の休場を発表したのです。



詳しい理由が説明されなかったため様々な憶測がかわされましたが、

先崎九段は実はうつ病とたたかっていたのです。

本書は、エッセイの書き手としても知られる著者が

自らの病の発症から回復までを綴る、心揺さぶられる手記です。







◎うつ病の頭には死のイメージが駆け巡るのだ。◎



「うつ病の朝の辛さは筆舌に尽くしがたい。

あなたが考えている最高にどんよりした気分の10倍と思っていいだろう。

まず、ベットから起きあがるのに最短でも10分はかかる。ひどい時には30分。その間、体全体が重く、だるく、頭の中は真っ暗である。

仕方がないのでソファに横になるが、もう眠ることはできない。ただじっと横になっているだけである。

頭の中には、人間が考える最も暗いこと、そう、死のイメージが駆け巡る。

私の場合、高い所から飛び降りるとか、電車に飛び込むなどのイメージがよく浮かんだ。

つまるところ、うつ病とは死にたがる病気であるという。まさにその通りであった」(本文より)
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