「おれが飛び立ったら、この女をお前の妻にしろ」-戦争末期の鹿屋航空基地で著者の父が出会った、三人の特攻隊員と絶世の美女、八重子。出撃命令を待つ彼らの間で交わされた密約が、それぞれの人生を大きく変えていく。国を守るために命を捨てた男たちと彼らの想いに殉じた女の運命を描く哀切きわまる恋愛譚。父が語った思い出を妖艶な物語に昇華させた鬼六文学の最高傑作。