本書は、教師と教師を目指す人々のために、研究論文の書き方をまとめたものです。
教師は、学問を追究する人々とは異なります。教育の実践者です。質の高い日本の教師の実践の成果を個人情報を守りながら、研究として発信することが求められています。学校の課題が多様化・複雑化するという国際的な動きのなかで、日本の研究がますます必要になっているのです。
実際、文部科学省(2016)は、「経済・財政再生アクション・プログラム」を受けて、学校の課題に関する客観的データ等、学校・教育環境に関するデータ収集及び教育政策に関する実践研究の必要性を述べています。日本の質の高い教育実践を、科学的根拠に基づきながら、伝えることができるように、無料EXCEL統計ソフトと教師の言葉を用いて書きました。
さらに、量的研究、質的研究方法の基本を示しました。質的研究とは、口頭、視覚、記述等の質的データを中心に、研究者自身が解釈し分析する方法です。具体的には教師や子どもの感想や表情等を分析するものです、量的研究とは、数量的データを中心に、統計学を用いて分析する方法です。学校には膨大な情報があり、質的研究法と量的研究法のどちらか一方ではなく、両方とも教師にとって必要であると考えて書きました。
本書は、数少ない教師と教師を目指す人々のための研究方法の書です。グローバル化の中で、ますます日本の教育が発展し、日本の教室が子どもたちにも教師にも、さらに楽しくなることを期待しております。そして、その実践を論文として、日本だけでなく世界にも発信しましょう。