咲く花に時勢や人生の全盛を、落ち葉に凋落を、秋の夕暮れに寂莫を重ね合わせてきた日本人の繊細な感覚。それを最もよく示す季節感の変遷を、各々の時代を特色づけた文芸作品や思想の中にさぐり、日本人独特の心の歴史を究明する、創見に富んだ日本精神史。本巻では、万葉・古今・新古今から、芭蕉にいたるまでの、自然と生活が密着していた時代の日本人と季節の関わりを描く。