新迷探偵コンビ登場!?
文芸編集者の娘と高校国語教師の父が、出版社の「日常の謎」に挑む!
主人公は大手出版社「文宝出版」に勤める田川美希。女性誌から晴れて希望の文芸部門への配属がかなうと、大学時代までバスケットボール部で鍛えたバイタリティを活かし、仕事に燃える毎日だ。
ある日、文宝推理新人賞の最終候補を決める会議で、有力な候補作品「夢の風車」の担当となった美希は、その候補者へお知らせの電話をかけた。が、まさかの返事を聞くことになる。「――応募していませんよ、私は」、と。一昨年までは新人賞へ投稿していた候補者の男性だが、まったく芽が出ずに今回は応募をしていないというのだ。
何とかこの作品を世に送り出したいと願う美希は、さまざまな可能性を探るが、どこからこの原稿が届いたのかまるで見当がつかない。ふと、父親にことの顛末を話してみようと思ったのは、高校教師をしている父は最近、ずいぶんお腹は出てきたものの百科事典タイプの人間で、インターネットで分からなかった疑問を解決してくれたりもする。相談役として誠に便利な存在だからだ。娘の相談にお父さんが導き出した真実とは果たして?
大作家同士の手紙、スケッチを映した写真、落語の解釈、マラソン大会でのハプニングなど、中野の実家に住む父は抜群の知的推理で謎を次々に解き明かす。
「日常の謎」の名手が、自らのフィールドを最大限に楽しみつつ、新たに送り出したユーモアとけれん味たっぷりの名探偵シリーズ。
解説・佐藤夕子