静養を理由に、祖父母が住む海辺の田舎町へ移り住んだ新。唯一の日課は、夜の海辺の散歩だけ。父親との確執、諦めた将来の夢、病気の再発。海を眺める時間だけは、この憂鬱な世界を忘れられた。 ある夜の海辺、新はエラという女の子に出会い、惹かれていく。やがて、周囲で次々と不思議な出来事が起きるようになり……エラは、奇跡を起こす本物の“天使”だった。「忘れないでね」 切なく笑った天使に秘密があることを新は知る。そして、残された時間がわずかなことも――。