本書は、作家デュラスの真の処女作というべきものであり、のちに『愛人』『北の愛人』とともに、深化・発展させられてゆく仏領インドシナでの自らの少女時代の体験を素材としたデュラス流の「失われし時を求めて」をかたちづくる傑作である。