「今日もていねいに」という宝物のような言葉を、再定義して、1から見つめ直し、僕は自分の中のていねいさをアップデートしたい 松浦弥太郎・・・・・・生き方の本質を語りかける、人気エッセイスト最新作! 松浦さんの言葉があなたを新たな地平に導く。
僕はある日、見つけたのです。
それはたぶん、とても大切なことで、みんなが知りたいことで、人生における宝物のようなことです。
少なくとも僕自身にとっては、得難い学びでした。
「これからの自分にとって、なくてはならないこと」だと、つよく思いました。
それをある人は、「成功する方法」と呼びます。
もしかしたらある人は、「すてきな人になる秘訣」と言うかもしれません。
「なりたい自分になる方法」という表現がぴったりくるという人も、少なからずいるでしょう。
僕は、その答えを見つけたのです。
まだ、本のはじまりですが、もったいぶらずに書いてしまいます。
それは、「1からはじめる」ということ。
「すてきな人になるにはどうすればいいんだろう?」
「なんであの人は成功しているんだろう?」
「なりたい自分になれなくて、つらい」
すてき、成功、なりたい自分の定義はとてもむつかしくて人それぞれですが、どんな定義であろうと、多くの人にとっての願望であり、羨望であり、夢だと感じます。
そのすべてをかなえるのが、「1からはじめる」。
ただ、これだけです。
ところが、あまりに簡単すぎるのか、僕が言っても、多くの人は信じてくれませんでした。
ある人は、唇のはしっこに笑み浮かべて、こう言うのです。
「1からはじめる? そんな単純な話でしょうか」と。
またある人は、すこし眉をひそめて言い、下を向くのです。
「1からはじめれば、成功できる。もしそうなら、いいですね」と。
どうやらみんな、「1からはじめる」の効能を、はじめから疑っているか、試してみる前からあきらめているようでした。
ちょっと不安になりかけた僕は、多くの人に話すのをやめて、ごく限られた人たちに、この話をしてみました。
僕が憧れている人に。
すごいなあ、と思っている人に。
世の中の、成功者と言われている人に。
数は少ないけれども見る目が確かな人たちに。
「あの人はすてき」と認められている人に。
「大切なのはとにかく、1からはじめることだと僕は思うのです。いい
え、1からはじめるしかないと思うのです」と、伝えたのです。
すると、……(はじめに」より)