北欧でもっとも成功した起業家教育といわれるスウェーデン、チャルマース工科大学の起業家育成プログラム、チャルマース・スクール・オブ・アントレプレナーシップ (CSE)。本書は、革新的テクノロジーを事業開発の観点から評価し、そこにみられる事業機会やリスクを分析すると同時に、特許や知的財産の取り扱い、社会に向けたコミュニケーション、そしてベンチャー創業チーム内の力学まで、テクノロジー駆動型のイノベーションを軸にして持続可能なビジネスを立ち上げるための、メソッドと事例をまとめたCSE渾身のテキストである。
未来洞察、バックキャスティング、シナリオプランニングといった手法を詳細に解説するだけでなく、それらの方法論に則って立ち上げられたヴェーコ、エコエラといった、日本ではまだ知られていない北欧発のスタートアップ成功例も多数紹介する。環境保護やフェアトレードといった、“善い”活動を推進しながら、同時にビジネスとして持続的に利益をあげる――こんな「理想論」を現実のものにするための方法論と実例がまとめられた本書は、起業家を志す学生、社会人に加え、企業内で新規事業開発に携わる人にも必読の一冊といえよう。