ここにお目にかける、いきいきとした、たのしい壁かけは、カナダの先住民族である「イヌイット」の女の人たちの手づくりです。この「イヌイット」の暮らしているカナダの北やアラスカなどの極北の地は、一年の三分の二が、ほとんど太陽が昇ることのない冬、夜の季節です。そして短い夏。その夏は、夜になっても太陽が沈むことはありません。そんなきびしい自然のなかで、イヌイットの女の人たちは、狩りに出かけた男の人を待ちながら、毛皮をなめして、一針一針、家族のパーカ(防寒着)を縫いました。本書で、女の人たちが、一針一針縫ったこの壁かけから、すぎた昔をなつかしみ、伝統を大切にしながら、新しい明日に向かって歩んでいく「イヌイット」のメッセージをききとって下さい。