無数無名の人々は、その昔、いかなる日常生活を常んでいたか。柳田は愛読書『俳諧七部集』の中に庶民の「小さな人生」を一つ一つ発見してゆく。依服・食物・生活器具など女性の生き方と関わりの深いテーマをめぐる19の佳篇のいずれにも、社会を賢くするのが学問の目的だとする著者の主張と念願が息づいている。