急速にキャッシュレス化が進む中国。
9億人以上が利用する決済サービス「アリペイ」(支付宝)。
1元から資産運用ができるMMF「余額宝」。
個人や企業の信用度をスコアリングする「芝麻信用」(ジーマ信用)。
一般消費者や零細企業に少額融資を行う、マイクロクレジット専門のインターネット銀行「網商銀行」(マイバンク)。
これらすべてを動かすのが、アリババ・グループの金融関連会社「アントフィナンシャル」だ。
現在、アントフィナンシャルの業務分野は、決済、融資、資産運用、保険、銀行に及び、テクノロジーによって金融のあり方を大きく変えようとしている。
本書では、中国の金融シンクタンク「中国金融40人論壇」(CF40)のメンバーが、2004年の「アリペイ」の誕生から2017年までのアントフィナンシャルの発展史を辿り、その全貌を解明する。
アントフィナンシャルが最も重視するのは零細企業や農村、一般消費者へのサービスだ。
資金ニーズはあるものの、信用情報がなく、銀行から融資を受けられない人々には、有効な信用情報を蓄積する術を生み出し、適正に与信判断を行うシステムを構築することで融資を実現した(第5章で詳述)。
貸付リスクの高さから既存金融機関に見放されてきた農村部でも、実情に即して金融ニーズを腑分けし、インフラを整備して、都市部と同等のサービスを提供しようとしている(第8章で詳述)。
この企業の本質は、取引における「信用」の問題を技術力で解決することにある。
さらに、その技術を積極的に外部に開放することで、独自の金融エコシステムを世界へ拡げようとしている。
KPMG/H2 Venturesが選出する「Fintech100」に3年連続で第1位に選ばれた、世界的フィンテック企業の全貌を解明。
金融の最前線を知り、中国の現在を知るための必読書。