本書は、世紀末という暗い時代に場所を得て、魂を「解剖」した画家ムンクを紹介する美術入門書。
ムンクの作品に込められた、極めて個人的な魂の軌跡を読み解く。
ムンク芸術の集大成「生命のフリーズ」をはじめ、エロスとタナトス、そして人々が漠然と感じている捉えどころのない不安を見事に可視化した造形力をじっくり鑑賞する。
またムンクは生涯、不安、絶望、死の恐怖に苛まれたが、結果的には80年の生涯をまっとうした。根本的な部分で生に執着し、より力強く生を肯定した画家でもあった。これまであまり紹介されなかった晩年まで辿ることによって、画家の全体像に迫る。