私は、泥まみれの犬を歌う、貧しい犬、宿なしの犬、うろつく犬、道化の犬、つまり、貧民やジプシーや大道芸人の本能のように、かくも善良で知能の真の守り神でもある、必要、というものによって、みごとに研ぎすまされた本能をもつ、そんな犬を歌うのだ!
(「50善良な犬たち」)
現代詩を切り拓いた名著、待望の新訳
「「現代詩の発端」と呼ばれることもあるボードレールの散文詩集ですが、その影響は詩にとどまるものではありませんでした。(。。。)「現代詩の決定的発端」は「現代文学の決定的発端」でもあったわけです」(「はじめに」)。
散文詩を拓いた19世紀文学の精華が、最新の研究と平明な訳で詩的現在のその先に蘇る。
装幀=山田聖士