• Author服部真里子
  • Publisher書肆侃侃房
  • ISBN9784863853379
  • Publish Date2018年10月

遠くの敵や硝子を

夜をください そうでなければ永遠に冷たい洗濯物をください

短歌はわたしではなく世界を震わせるのか。 この歌集を読んで、初めてそう思った。 世界が震え、震える世界の中にいるわたしが共鳴する。 そうか、そうだったんだ。 ――金原瑞人

【五首選】

わたくしが復讐と呼ぶきらめきが通り雨くぐり抜けて翡翠(かわせみ)

灯のもとにひらく昼顔おなじ歌を恍惚としてまた繰りかえす

水仙と盗聴、わたしが傾くとわたしを巡るわずかなる水

つばさの端のかすめるような口づけが冬の私を名づけて去った

神を信じずましてあなたを信じずにいくらでも雪を殺せる右手

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