慶応四年三月。鳥羽・伏見の戦いに勝利した官軍は、徳川慶喜追討令を受け、江戸に迫りつつあった。軍事取扱の勝海舟は、五万の大軍を率いる西郷隆盛との和議交渉に挑むための決死の策を練っていた。江戸の町を業火で包み、焼き尽くす「焦土戦術」を切り札として。
和議交渉を実現するため、勝は西郷への手紙を山岡鉄太郎と益満休之助に託す。二人は敵中を突破し西郷に面会し、非戦の条件を持ち帰った。だが徳川方の結論は、降伏条件を「何一つ受け入れない」というものだった。
三月十四日、運命の日、死を覚悟して西郷と対峙する勝。命がけの「秘策」は発動するのか――。
幕末最大の転換点、「江戸無血開城」。命を賭して成し遂げた二人の“麒麟児”の覚悟と決断を描く、著者渾身の歴史長編。
【絶賛の声!】
勝と西郷が対峙した二日間に焦点を定めて、物語をぎゅっと凝縮されたのはさすがの慧眼で、素晴らしい
――出口治明氏(立命館アジア太平洋大学(APU)学長・「本の旅人」1月号より)
江戸城で繰り広げられる会談は、緊迫感に満ちており、 何度も固唾を呑んだ。
ふたりの会談を、これほどのドラマに 仕立てた作者の力量が素晴らしい。
――細谷正充氏(文芸評論家・「本の旅人」1月号より)