敗戦時、混乱を極めた上海を舞台に、時代に翻弄され、組織の非情なメカニズムにとらえられていく人間の姿を、著者自らの体験をもとに描破した「歯車」、教会的権威と民衆の知との対立を追った「メノッキオの話」、宗教的熱狂の意味を問う「至福千年」など、小説五篇に初期詩篇を併録。歴史の中で自らの運命を背負いながら生きる個人を見つめ、戦後文学に新局面を切り拓いた堀田善衛の核心に迫る。
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