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  • 出版社市民セクター政策機構
  • ISBN9784775201152
  • 発行2019年1月

社会運動 No.433 / 季刊

広がるシェアビジネス
 「シェア」という言葉の本来の意味は「共用、分配」だ。だから「シェア経済」によって、人びとがモノや技能を「分かち合う社会」が到来すると期待された。ところが現実に広がったのは、インターネットを使ってモノやサービスの仲介するニュービジネスだった。特に有名なのが、民泊を仲介する「エアビーアンドビー(Airbnb)」と、一般人が自家用車を使って他人を運ぶ「ウーバー(Uber)」だ。
 両社がアメリカのサンフランシスコで設立されたのはわずか10年前。スマートフォンで近くの車を呼んだり、民泊の予約が簡単にできることから、またたく間に世界中に広がった。利用者にとっては「便利で安い」というメリットがある上、「共同で利用する」と聞くとエコな感じもする。ウーバーは世界70カ国で展開し、売上高75億ドル。エアビーアンドビーは192カ国、売上高26億ドルにのぼる。
タクシー運転手の嘆き
 でも、こうしたビジネスが「分かち合いの社会」をつくる可能性はあるのだろうか。
 筆者が、昨年秋にニューヨークの協同組合を視察に行った時のこと。空港で乗ったタクシー運転手に、ウーバーの影響について尋ねてみたら、「いまじゃ街中では7割の人がウーバーを利用するようになったよ。結局、タクシー利用者が激減したので、俺も登録して利用者を探しているんだ。でもウーバーから受け取る報酬は安くてね」とため息をもらす。結局、運転手と利用者が自動車をシェア(共用)しても、その利益はシェア(分配)されずウーバーだけがもうかる仕組みなのである。
分かち合うシェア社会を目指して
 本号が紹介するのは、「分かち合う」ことを基本原理とする、様々な日本の活動である。「お金に縛られない生き方」を考えている方々に、ぜひお読みいただきたい。

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