長野県山形村に、同地で農業を営む一老人の六十年以上に及ぶ日記が残されている。彼は、戦争、農地改革、農産物自由化などの波に揉まれ、その間、主な産物も、繭、酪農品、野菜とシフトさせてきた。さらに、自身の病気、家族内や村内に起こる問題が、彼の人生を変えていった。本書は、農業問題に三十年以上携わってきた放送ジャーナリストが、今や崩壊の危機に直面している日本農業の原点を、一農家の日記から見直す試みである。