日本発、世界初となる驚異の量子コンピューターの実現が、秒読み段階に入った。
光を使った独自の方式により、量子コンピューター開発のトップを走る著者が、その仕組みと理論を徹底解説。
スーパーコンピューターをはるかに凌ぐ高速計算と低消費電力を両立させる量子コンピューターの実現へ向けて、
現在、さまざまな方式が模索されている。世界中で競争が激化する中、圧倒的な勢いを見せるのが、光を使った量子コンピューターの研究だ。
革新的な光量子コンピューターが完成する日は、もう間近に迫っている。
竹内 薫氏、推薦!
「量子コンピューター開発の真打ち! その全貌がここに」
(目次より抜粋)
第1章 量子の不可思議な現象
排熱をゼロにする/「重ね合わせ」と「粒子と波動の二重性」/対立する理論/空間を超える相関
第2章 量子コンピューターは実現不可能か
研究開発が加速する/世界的企業や研究機関がしのぎを削る/ショア博士がもたらしたインパクト/困難を極める開発
第3章 光の可能性と優位性
「量子テレポーテーション」は「テレポーテーション」ではない/不確定性原理からは逃れられない/ビームスプリッターで量子もつれを生成する/物理ビットと論理ビット/量子誤り訂正の救世主
第4章 量子テレポーテーションを制する
光の粒子性を扱う限界/カルテックというターニングポイント/光で光の位相を制御する/1998年、完全な量子テレポーテーションに成功/1杯のビールを賭けた実験
第5章 難題打開への布石
日本人だからこそできる実験/2011年、シュレーディンガーの猫状態の量子テレポーテーションに成功/重力波の観測にも貢献したスクイーズド光の開発/
市販品がなければ自前で開発/「クレイジー」なベンチャー企業の社長との共同開発
第6章 実現へのカウントダウン
時間領域多重の実現に挑む/連続量処理の強み/2次元での超大規模量子もつれ/革新的発明「ループ型光量子コンピューター」/量子コンピューターがもたらす未来社会
●プロフィール
古澤 明(ふるさわ あきら)
物理学者。1961年、埼玉県生まれ。1984年、東京大学工学部物理工学科卒業。1986年、同大学大学院工学系研究科物理工学専攻修士課程修了、株式会社ニコン入社。
東京大学先端科学技術研究センター研究員、カリフォルニア工科大学客員研究員、東京大学大学院工学系研究科助教授を経て、2007年から現職。
著書に『量子テレポーテーション』『量子もつれとは何か』(共に講談社ブルーバックス)などがある。