昔、ごろべえという強いさむらいがいて、一度も「こわい」と思ったことがなかった。「こわいとはどんなきもちなのだろう」どうしても知りたいごろべえは、もののけ達のすむくにへ旅立った。もののけの大将おおにゅうどうは、ごろべえの話を聞くと、つぎつぎに恐ろしげな化け物に化けた。ところがごろべえ、ちっともこわくない。失意のうちに帰ってきたごろべえに、寺の小僧は「わたしがこわがらせてさしあげます」と言った。