「したしたした。」雫のつたう暗闇で目覚める「死者」。「おれはまだ、お前を思い続けて居たぞ。」古代を舞台に、折口信夫が織り上げる比類ない言語世界は読む者の肌近く幻惑する。同題をもつ草稿二篇、少年の日の眼差しを瑞瑞しく描く小説第一作「口ぶえ」を併録。