アメリカSGIを個人・教団・社会という重層的なレベルで分析し、関連づけたことによって、従来の改宗研究や思想研究、また宗教と政治をめぐる研究ではとらえきれなかった全体像を描き出している。ある社会状況を背景に、ある宗教の需要を感じる人が現れ、その需要に応える宗教が供給され、両者が出会う。その時、一人一人の新たな人生のドラマが始まるのみならず、社会意識の強いアメリカSGIにあっては、周囲の人々や共同体、社会を巻き込むドラマが始まる。そのプロセスを、綿密な調査データにそくしつつ、実証的かつダイナミックに浮き彫りにした本研究は、アメリカSGI研究のみならず、新宗教研究一般に新たな局面を開くものといえよう。