苦しい修業に耐えた芝仙は、名唱の名を得た。同郷の詩人・朴大煥は芝仙のパンソリの耳「名唱」であり、互いに愛しあいながらも結ばれない。大煥は花枝という日本人女流作家との愛に流されていく自分をどうすることもできない。芝仙は大煥と花枝の愛の行方を気にかけながらも、パンソリの奥義を極めようとする。だが、芝仙はだんだんとパンソリ公演が出来なくなる時代の暗さを体で感じ、大煥もまた作品を書くことができなくなっていく。芝仙は何もかも失ってもパンソリだけを愛するためにだけ生まれてきたのだ…。