保育とは子どもたちの「大きくなりたい」という願いをそばでしっかり支える誇り高い仕事だと思うのです(本書「おわりに」より)。
子どもの主体性を乳幼児期から育むにはどのようにすればよいのでしょうか?
この問いに対して、本書の編者が主宰する「保育実践を語る会・土曜の会」では、有志が集い、保育カンファレンスを通して試行錯誤を続けてきました。保育・幼児教育の研究者と保育者たちが協同して目指したのが、「自ら遊ぶ中で考え、学ぶ力を育てる保育」です。その成果は、公益財団法人ソニー教育財団が主催する「ソニー幼児教育支援プログラム」において「優秀園」(2014年度、2015年度)や「奨励園」(2018年度)に選ばれるなど、外部からの高い評価としても表れています。
大切なのは方法だけではなく、保育者の「願い」です。本書には、主体性を育む保育の方法とそこに込められている願いや意図をQ&A形式でわかりやすくまとめました。テーマは、乳児保育、全年齢の保育、食事、環境構成、保育者のあり方、行事、特別支援教育、園内研修、保護者支援と網羅しています。近年の課題となっているドキュメンテーションの作り方や意義も詳しく取り上げています。
各項目は基本的には見開き2ページとなっているため、文章量が少なく読みやすい構成です。実際の保育のイメージがわきやすいように、イラストや写真を豊富に掲載しています。
さらには「動画」も用意しました。紙面の中にあるQRコードをスマホやタブレットで読み取ると、保育実践の動画(約1分間、計15カット)を見ることができます。実際の子どもの姿や保育の環境構成、保育者の援助の仕方、生活の流れ等が一目瞭然です。
【サンプル動画:Q1.なぜひとさし指で手をつなぐの?】
https://youtu.be/KpFfm2K7hy4
また、各章ごとに各分野に造詣の深い研究者や実践者のコラムが添えられており、保育の学びを深めることができます。
保育の基本がわかるだけでなく、キャリアアップにも役立つ内容です。
・コラム寄稿者(五十音順)
青木一永(社会福祉法人檸檬会[レイモンド保育園] 副理事長/統轄園長)
網野武博(元東京家政大学教授)
井上孝之(岩手県立大学准教授)
大滝世津子(鎌倉教育総合研究所 所長)
久保山茂樹(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 インクルーシブ教育システム推進センター総括研究員)
瀧川光治(大阪総合保育大学教授)
永井久美子(神戸女子短期大学准教授)
矢藤誠慈郎(岡崎女子大学教授)