タイトルの【恋して】と【歌ひて】は女流歌人としての石上露子の選択であり、【あらがひて】は、本名である杉山タカの本質である。そしてその本質にこそ、奥村和子氏は惹かれ、想いを託したのだろう。ここに描かれた一人の女性の生き様の向こうに見えるのは、不思議と過去ではなく、現代なのである。 ーー 藤井清美(脚本家・演出家)