おしゃれも仕事もプライベートも全力で駆け抜けた20代~40代を経て、人生後半が見えてきた50代。
体型も変化し、無理も効かないお年頃だからこそ、たどり着いた“頑張らないおしゃれ”。
『大人になったら、着たい服』で人気のセレクトショップ「ダジャ」ディレクター・板倉直子さんの無理なく、おしゃれを楽しむコツと豊かな暮らしをご紹介しています。
【本書「はじめに」より】
若いころからおしゃれが大好きでした。
食べることより、寝ることより、遊ぶことより、明日何を着て出かけるかが大事でした。私は、きっとおしゃれによって、毎日のスイッチを入れていたのだと思います。
でも……。
50歳になったころからふと、ラクなおしゃれがしたくなりました。
今日は天気がいいから、空の色のようなブルーのリネンコートをはおって出かけようか。
そんな気ままな、気分まかせのおしゃれでもいいじゃない、と思うように。
島根県松江市に「Daja」というセレクトショップを開いて今年で30年になります。
特にここ5~6年はイベントに呼んでいただいたり、新ブランドのディレクションを手がけたりと、世界がぐんと広がりました。
自分の実力より、ちょっと高いところにある目標へ手を伸ばせば、新しい扉が開く。
そんな体験は、私にとってワクワクして何より楽しいものでした。
でも、あれもこれもと欲張りすぎれば自分の時間はどんどんなくなっていきます。
これからは、おしゃれ以外のことも楽しみたい。
朝の光の中でていねいに部屋の掃除をしたり、料理をして夫と「おいしいね」と食べたり、コンサートや美術館に出かけたり。
だから、少しだけ歩を緩めることにしました。
人生の後半は、暮らしを丸ごと楽しみたいなと思っています。
そう考えると、不思議なことに、新しいおしゃれが立ち上がってきました。
それが、「頑張らないおしゃれ」です。
過ごす時間に合わせた、暮らしに寄り添う装いがある……。
ちょっと肩の力を抜いて、窓を開けて、今日は何を着ていこうかと考えてみませんか?