なぜ、〈後期〉なのか?
アーレント、フランス現代思想からマルクス・ガブリエルまで、今なおポストモダン/現代哲学の震源である、『存在と時間』以降の転回(ケーレ)を経た〈後期〉を徹底講義する初の入門書。
本書は、『存在と時間』での「現存在」を中心とした実存主義的な議論とは異なった装いの下に展開されていく、三〇年代以降のハイデガー哲学のエッセンスを、二つの重要著作を読むことによって学んでいく。
前半『形而上学入門』を読むことで、ハイデガーが対決し、克服しようとしたプラトン以降の西欧的形而上学とはどのようなものであり、そのオルターナティブをどこに求めようとしたか、その基本戦略を明らかにする。後半『「ヒューマニズム」について』を読むことで、ハイデガーがどのようにして実存主義的な「人間」理解と距離を取り、存在と人間の関係を再定式化しようとしていたか確認し、それがフランスの現代思想にいかに影響を与えたかを考える。