『おえかきしりとり』は、数ある絵本の中でもとても珍しい、作者が「4人」いる絵本です。しかも、単に誰かが描いた文にそれぞれが絵をつけたわけではなく、4人全員で話し合い、物語を作り、全員で絵を描いて完成させた「合作」です。
内容はいたってシンプル。「おえかきしりとり」というタイトル通り、しりとりをベースにした、絵を描いて言葉をつなげていく遊びを絵本にしています。本編では、4人が実際に順番に絵を描いてつなげていったしりとりが、何ページにも渡って繰り広げられていきますが、読者はその絵が何なのかを当てながら、4人が行ったしりとりを追体験する、という構成で絵本は進んでいくのです。
一筋縄ではいかぬよう、だんだんと難易度が上がっていくしりとりの絵はひっかけも多く用意されていますが、たとえその絵がわからなくても、前後の絵が何なのかを当てることで、最初と最後の字がわかるため、そこをヒントに類推することも可能です。さらに、「絵本作家」4人が作った絵本ということで、ただのしりとりだけではもちろん終わりません。しりとりのルールを逆手に取った、驚きの展開が、物語のクライマックスで登場するのです。
作者の4人は、『れいぞうこ』(偕成社)などの赤ちゃん絵本で多くのヒット作がある新井洋行氏、「しごとば」シリーズ(ブロンズ新社)で新たな絵本の可能性を提示し、第62回小学館児童出版文化賞を受賞した鈴木のりたけ氏、、『カエルのおでかけ』(フレーベル館)で第19回日本絵本賞を受賞、独特のセンスが光るユーモア絵本で大人にもファンの多い高畠那生氏、「給食番長」シリーズ(長崎出版)で、絵本界に一石を投じ、子どもたちに絶大な支持を得たよしながこうたく氏と、一癖も二癖もあるラインナップ。この本でしか読めない、4人の豪華共演は、必見です。
しりとりそのものにも、ことば遊びとしての知育要素がありますが、それに加えて、本書は、新たな言葉を知る喜びや、「絵を見て答えを考える」という想像力が培われ、考える力も育まれる内容になっています。また、家族や友だちと一緒に読むことでも、楽しさは倍増。コミュニケーションをとりながら、楽しく盛り上がれます。子どものみならず、大人にもぜひ読んでいただきたい1冊です。(後ろ見返しに答えあり・4さい~)