ここは地獄だ。そう感じた。薬草種を届けに一関を訪れた日向景一郎は、医師・丸尾修理と共に山間の村に向かう。そこで遭遇したのは目を疑う光景だった。隠し金山の秘密を守るため、藩が猛毒と武力で一つの村を壊滅させようとしているのだ。積み重なる屍。悲憤。生き残った民に襲いかかる兵に景一郎が立ちはだかる。奥州、そして江戸──。闘いに憑かれた男たちの群像を描く、白熱の剣豪小説。