レジ袋、ストロー、食品トレーetc.さまざまな生活用品に広く使われているプラスチック。今や私たちの生活に欠かせません。これらは世界で大量に生産され続けており、同時に大量に廃棄されています。なおかつプラスチックの生産量・廃棄量は年々増えつづけています。とくに近年注目されているのはマイクロプラスチックの問題。マイクロプラスチックとは、海流に漂うなかで微粒子化したプラスチックのことで、食物連鎖の過程であらゆる動物の体内に蓄積されます。最終的には人間の体内に残るわけですが、それが人体にどれほどの悪影響を及ぼすかはわかっていません。私たち人類は、自らの消費活動によって出したプラスチックごみを食べているのです。もちろんほかの野生動物たちも。
本書は、この問題を取りあげ、読者とともに未来のあるべきすがたを考えます。その手段として、ある島に生息するカニクイザルの親子に注目しました。彼らの生活視点で地球を見ると、いかにして海洋プラスチック汚染が進行していくのかが見えてきます。海洋プラスチックごみの多くは、陸地に捨てられたプラスチックごみが川を下って海に出るというルートをたどりますが、そのルートがそのままカニクイザルの生活行動と一致するのです。カニクイザルがおりなす自然の営みの中に存在する大量のプラスチックごみ。その強烈な違和感と不快感を、藤原幸一さんの写真が強く訴えかけてきます。私たちが今、地球のため、動物たちのため、そして自分たちのためにできることとは何なのかを考えさせられる一冊です。