1971年にシリアから亡命して約半世紀。著名なドイツ語作家となったラフィク・シャミは、世界で150万部のベストセラー『夜の語り部』や『空飛ぶ木』『蠅の乳しぼり』などのメルへンあふれる作品を発表し、今なお精力的に書き続けています。
シャミ文学のエッセンスの詰まった本書には、過去の作品から抜粋または一部を書き換えた54編に書き下ろし5編を収録。ダマスカスでの子ども時代の回想、メルヘン仕立ての短編、アラブの政治や民族のメンタリティを風刺的に書いたものなど、多彩なラインナップは、絶妙なおかしみを漂わせながらも哲学的な視点で人間の真理をとらえています。これら59編のショートストーリーすべてに、妻であり画家のロート・レープが絵を描いた珠玉の愛蔵版です。