滑稽猥雑を旨とする男系の文学・俳諧の世界へ女性俳人はいかに登場し、活躍の場を広げていったか。本書では、元禄期の女性俳人から、近代的自我の覚醒を格調高く詠いあげた杉田久女まで、三十余名の作品を鑑賞する。男社会の軋轢のなかで句作を断念した人、志を抱きながら夭折した人、ハンセン病と闘いつつ生涯俳句を捨てなかった人、金融大恐慌の因をなした金子直吉の妻せん女など、俳句に命をかけた女性たちの凄絶なドラマ。