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  • Author下重暁子
  • Publisher文藝春秋
  • ISBN9784166612154
  • Publish Date2019年5月

天邪鬼のすすめ

「壮大なまわり道の中で研ぎ澄ました私の感性……頼れるものは、それしかない」

不安の時代を生き抜くヒントに富む、

ベストセラー作家の自伝的エッセイ



厳格な軍人家族に生まれた著者は、敗戦によってすべての価値観が根底から覆ってしまう。凛として「恥を知る」ことを説いた父が、戦後は見る影もなく落魄。そのくせ世の中が落ち着くと、徐々に昔の価値観に戻っていく……。そんな父と、暁子は確執を深める。家の中はぎくしゃくし、母とも心が通じなくなっていく。

また、結核を患ったせいで、幼い暁子は長期の入院を強いられた。外で遊ぶこともならず、彼女はおのずと自分自身に向き合うようになる。敗戦と結核、これが原点となった。

家族と離れて自由を謳歌した高校・大学時代。NHK入局後、野際陽子との出会いで悟った「私は私」という境地。そして、ある音楽家の男性との運命的な出会いと大失恋。さらに、パートナーを得た後にも暁子に影を落とす父と母の存在……。

波瀾万丈の来し方を振り返りながら、著者はあるヒントを投げかける。

「天邪鬼」であること。そして「おめでたさ」を失わないことの大切さ。挫折と思えたものを逆転してこられたのは、天邪鬼とおめでたさがあったからこそ。

自分で考え、反骨を忘れない。自分で食べる。自分で決める……その大原則さえ守っていれば、人は自由に生きることができる。

切れ味鋭く、かつ滋味深い著者の言葉は、不透明な時代を生き抜くための力を与えてくれる。

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