大航海時代の船乗りや兵士たちも、病と死の恐怖なしに、異国へと旅立つことはできなかった。歴史始まって以来の大旅行家、アレキサンダー大王が旅の途上で命を落としたのも、たった一匹の蚊によるマラリアのためであったと言われる。時は下って現代、旅の主役は一般市民となり、医学もまた目覚しく進歩した。しかし、無防備に旅立ち、現地で病院に駆け込む人ははいまも多い。逆に持病があっても適切な準備をすれば、旅を満喫できる。豊富な地図とともに、旅と病の歴史を遡り、病気を防ぐ「医学的旅支度」を考える。