漁師は、魚に対する生態的知識と、気象・海流・潮汐などの環境に関する知識が、釣りという技能の背後にあってはじめて漁ができる。そのような自然に対する知識の総体を、著者は自然知と呼ぶ。漁村・山村で行った観察・調査と、漁日誌や木地師の技能伝承をもとに、自然の生態と人間の自然知の関係を、民俗学のなかに位置づけた、はじめての民俗自然誌。