この子はまるで幽霊みたいだ-私立のクリニックを辞め、ふたたび教育の現場、小学校の情緒障害児クラスの教師となったトリイにとって、八歳の少女ジェイディはいままで出会ったどの子より不可解だった。周りが何をやっても、ジェイディは顔色ひとつ変えず、だれとも一言も話さない。まったくの無反応なのだ。何よりもトリイを驚かせたのは、その病的な姿勢だった。体をほとんど二つに折りまげ、上目づかいにこちらを見上げる姿は異様なほどだった。だが、ある日トリイは偶然の機会に、まっすぐに立つジェイディの姿を目撃する。あの異様な姿勢は、口に出せない問題をかかえる少女の、助けを求める悲痛な叫びなのか?つぎつぎと予期せぬ反応を見せはじめたジェイディが、少しずつ心を開いて語りだしたのは、陰惨な性的虐待をくりかえす忌わしいカルト集団の存在だった!相談する相手もない孤独と不安のなかで、自信を失ったトリイは真実をつきとめ、ジェイディを救うことができるのだろうか?情緒障害児との心の交流を綴り、読者の圧倒的な支持を得てきた著者の、新たな衝撃と戦慄に満ちたノンフィクション。