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  • 著者西尾維新
  • 出版社講談社
  • ISBN9784061824539
  • 発行2005年9月

ニンギョウがニンギョウ

映画を見なければならぬ。――17番目の妹のために。
最早只事デハナイ 想像力(イメージ)ノ奔流。未ダ 誰モ 見タコトノナイ 西尾維新ノ 時間ノ尖端。
映画を見に行くことになったのは妹が死んでしまったからだ。私は平素より視覚情報に関しては淡白を貫く主義なので、映画を見るのは実に5年振りのこととなり、妹が死んだのも、矢張り5年振りだった。回数を勘定すれば、共にこれが4回目である。映画を見るのは妹が死んだときだけと決めているのではなく、逆であり、妹が死んだからこそ、映画を見るのだ。そうはいってもしかしこうしょっちゅう死なれては私としても敵わない。日頃大きな口を叩いている友人達に合わせる顔がないというものだ。私には合計で23人の妹があるけれど、死ぬのはいつも、17番目の妹だった。

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