メールや電話では伝わらない想いがある。
稀代のストーリーテラーが、手紙をモチーフに紡いだ6篇。
「ぼくはママをころそうと思います」8歳の少年から届いた殺害予告。
「どうしても、あの恋文を見つけたいのです」往年の大女優からの無茶な依頼。
ひょんなことから、叔母が立ち上げたILL(I love letter)という会員制の文通会社で働き始めた岳彦・17歳。この半年近く、ほとんど部屋から出なかった、元引きこもり。
そんな岳彦に届くのは、一筋縄ではいかないワケありの手紙ばかり。
(手紙で届いた厄介事には、手紙で立ち向かうしかない!)
いつしか岳彦は、自分自身の言葉を便箋に連ね、難事に向き合っていく――。
若者の瑞々しい感情を描くことに関しては天下一品のあさのあつこが描く、温かくて切なくて、ちょっとコワい6つの物語。