ストックを重視する欧米世界、そしてその文明的感化を不当に焼きつけられた第三世界の国ぐにと比べたとき、いまの日本はかなり異質な特徴をみせていると思えてならない。かろやかな《物》感覚を練りあげながら、それで文明化を図る方法をいつしか身につけたと考えざるをえない。そこで、私は、いまの日本のみせる文明的側面を、<フローの文明>と呼んだらどうかと考えている。変貌する現代日本の新しい本質を「文明」という視点から見事にとらえ、これからの日本を深く見据えた著者会心の評論集。