おばあちゃんの島の家で夏を過ごしていたトーマスはある朝、海岸で、海ガラスを見つけた。海水や砂にもまれ、時を経て、丸くなった海ガラス。おじいちゃんは、海ガラスには、ひとつひとつに違う物語があるんだよ、と言った。どこから流れてきたのだろう。どんな旅をしてきたのだろう。このガラスの物語はどんなだろう。その夜、海ガラスを枕元に置いて寝たトーマスは、嵐のなかを進む帆船の夢を見た。小さな海ガラスからひろがる、壮大な物語。