昭和12(1937)年7月29日早朝、通州(現・北京市通州区)で暮らす日本人居留者たちが
中国兵によって無残に虐殺された。その数は250名を超えた。
突然始まった日本人に対する無差別の襲撃事件の発端、経緯から、その裏に潜む国民党の陰謀に至るまで、
筆者が新たに発掘した資料や手記から、80余年後にして真実が浮き彫りにされる。
写真や当時の新聞記事など図版100点以上を掲載し、中国兵による大虐殺の想像を絶する実態を明らかにする。
<目次より>
序 章 虐殺の城門へ
第一章 通州城、その前夜
不穏な空気/塘沽協定/冀東防共自治政府と殷汝耕/盧溝橋事件勃発と東京/通州城の守備/閉められた城門/七月二十九日、黎明に響く銃声
第二章 血染めの遺書
奇跡の妊婦二人/血染めの日記帳/遺骨の帰還と句碑/浜口茂子の遭難記
三章 日本人街の地獄、その検証
安藤記者の脱出記/外交官・田場盛義の殉職/ある留学生による救援現場報告書/惨状を語る生き残り邦人座談会/両親妹を虐殺され、生き残った私は……/荒牧憲兵中尉の調書・検証
第四章 私はすべてを見ていた――佐々木テンの独白
昭和天皇と因通寺/佐々木テンの独白
第五章 救援部隊到着――連隊長以下の東京裁判証言録
萱嶋連隊、通州に反転/「東京裁判」での証言/外務省の事件処理
第六章 現地取材はどう報道されたか
衝撃を伝える新聞各紙/吉屋信子の憤怒/『改造』社長、山本實彦の報告/アメリカ人ジャーナリストの目/通州事件が歌謡曲になっていた/眞山青果が「嗚呼 通州城」上演
第七章 日本人襲撃は国民党との密約・陰謀だった
実は、同時多発テロ計画だった/『冀東保安隊通県反正始末記』張慶余/『冀東保安隊の反正』(武月星、林治波、林華、劉友干/共著)