本書は、社会教育・生涯学習のテキストとして書かれたものである。本書は学習が組織化される過程に焦点をあて、おとなの学びとは何か、社会的にどのような意味をもつのかという本質的な問題を、学習の展開に即してほりさげることを意図している。おとなの学びに組織的にかかわる非営利・公共的な主体として、高等教育機関、地方自治体の社会教育、NPOの三つの主要な形態に注目し、それぞれの場において学びの共同性がどのように育まれ、社会への参加がいかに促されているかを考察した。このようなとらえかた自体が自己教育、相互教育といわれるおとなの学びの本質を明らかにしていく方法上の仮説となっており、体系化にむけての筆者の試論といえる。