漱石の「虞美人草」は、はたして漱石がいうように酒井抱一描くところのヒナゲシなのか。源実朝がイチョウのかげから躍り出てきた甥の公暁に殺されたというのは本当だろうか。江戸時代の中ごろに渡来したサツマイモのエネルギーが明治維新をもたらしたのではないか。花札に描かれたモミジとシカの取り合わせは、はたしてふさわしいのか…。人々が草や木とつきあってきた長い軌跡をたどりながら、意外な真実を掘り起こす著者一流の植物文化史、全20話。