始皇帝が文字を統一したとき、漢字が東アジアの歴史を照らし始め、漢字文明圏が決定づけられる。やがて大陸(中国)の変動に呼応する形で、平仮名(日本)、ハングル(朝鮮)、チューノム(越南)が生まれ、それぞれの文化の枠組みが形成されてゆく。その延長上に現代を位置づけなおすとき、二十一世紀が目指すべき方向が見えてくる…。鬼才の書家が巨視的な観点から歴史をとらえなおし、国民国家を所与とする世界観を超え、読者を精神の高みへと導く知的興奮に満ちた一冊。