洗濯する背中にもたれて感じたぬくもりは死別した母のたいせつな記憶、毎晩兄弟で取り合った父のあぐら、そこできいたオノマトペをまとう物語、ブラジルで出会った赤毛の魔女、「普通のおかあさんになってよ」と娘からいわれた日、昭和・江戸川の土手に住みついていた浮浪者のハーちゃん、紀伊國屋書店本店の喫茶室で見たフランス帰りの岡本太郎……。喜びだけでなく、悲しみも人に力を与えてくれる。みんな、私を作った「集まっちゃった思い出」。50年の作家生活で各紙・誌へ寄稿してきた中から選んだ、珠玉のエッセイ集!