「人間のいる街 あとがきにかえて」村田由夫 より
大塚洋介は寿に来た。都市市民社会から言えば落ちこぼれであるだろう。だが、こうも言えるだろう、大塚洋介は都市市民社会を見限った、と。
都市は、Yシャツ、ネクタイ、背広に象徴される。汗と汚れと肉体労働を嫌う文化である。 寿ドヤ街は、手拭と作業衣の生活である。汗と肉体労働の文化である。 汗と肉体労働を尊ベぬ文化は滅びる他はあるまい。Yシャツとネクタイの滅ぶ日を待つ。